ニューヨーク生まれの彫刻家、彫刻といってもベニヤ板からダンボ ールも使用する枠にはまった表現方法には何の関心も持つことなく 、ひたすら自分の感性に忠実で人を驚かせ喜ばせる事をワクワクと して生きている方のようです。几帳面で丁寧で整理整頓が大好きで クレイジーなほど緻密な図柄も作ってしまうというトム・サックス 流のティーセレモニーという名の日本の茶道をアメリカ人流トム・ サックス流に表現されたものが、初台のオペラシティで開催されて います。こうした前置きした先入観念が簡単に壊されるような作品 が並んでいます。トム・サックスの友人の話を活用すると、彼は自 分で関心があり興味を持ち始めると、普段は写真で見るような一般 的な目をしている方なのですが、本当に関心を持ち始めるとまるで 女性マンガ雑誌にあるようなくらいに目が大きく顔の面積を奪い車のヘ ッドライトのような明るさと輝きに満ちた目になるのだそうです。 何かを表現し始めると手が止まらないのだそうです。私達のような 一般人なら、このままでいいのかなとかもう少し右側の方が良かっ たかなとかと迷うのが通常なのではないでしょうか。彼の場合はそ うした躊躇とか迷いは悪魔だとか障害だというのです。 自分の創造性を止めるとか邪魔をするものに対して、戦うのではな く見て見ぬふりをして放っておくのだそうです。それがトム・ サックスの表現方法なのだそうです。私達というか私ならば、怖く なって手直ししたくなるとか人の目が気になって修正したりとか、 かえってダサいつまんない事をしてしまうようにも思えます。とい うかそれが普通という箱の中の生き方かも知れません。という事は、この先の未来も大 方想像が付くし、年取って身体が動かなくなってきたとか病気にな っちゃったとかいつまで生きれるのかなとか、世間じゃ100歳ま で生きるからこうしようああしようと言っているけれど、 そんなの分かんない事だし、それってまるでレールの上をズレない ように人に言われるままに歩いている兵隊さんみたい。ひょっとし て普通の人はこれを密かに望んでいるのかな…。